冷凍食品はからだに悪いの?
一言でいうと...
いいえ。冷凍したこと自体が、からだに悪いわけではありません。 冷凍野菜や魚と、味の濃い冷凍弁当・ピザ・揚げ物では中身が大きく違うので、「冷凍食品」というだけで一括りにしないことが大切です。
詳しくは...
「冷凍食品」は、食品を低温で保存しているという共通点しかない、とても広い呼び名です。切っただけの野菜や果物、味付けしていない魚もあれば、衣やソースを加えた揚げ物、一食分を組み立てた弁当もあります。健康への影響を決めるのは冷凍庫に入っていたかどうかより、何がどれだけ入っているかです。
冷凍すると、栄養がなくなるわけではない
野菜や果物8種類について4種類のビタミンを測った研究では、冷凍品のビタミン量は全体として生鮮品と同程度で、冷凍品のほうが多い組み合わせもありました。ただし、一部の食品ではβカロテンが減っていました(Bouzari et al., 2015)。
別の2年間の研究では、ブロッコリー、ほうれん草、ブルーベリーなど8種類の生鮮品、冷凍品、購入後に冷蔵庫で5日間保存したものを比べました。調べたビタミンの多くは三者で大きく変わらず、差があった場合は、冷凍品が5日保存した生鮮品を上回ることのほうが多い結果でした(Li et al., 2017)。
収穫後の野菜は、店や家庭で保存している間にも栄養が変化します。冷凍前に加熱する下処理や、家庭での保存期間、解凍・調理方法でも結果は変わるため、「生だから必ず上、冷凍だから必ず下」とは言えません。
気をつけたいのは、冷凍より商品の中身
調理済み食品では、食塩が多い商品があります。オーストラリアで631種類の調理済み食品を調べた研究では、冷凍タイプ275種類の食塩のもとになるナトリウム量は、1食あたり中央値791mgでした。100gあたり250mg未満という現地の削減目標を満たした冷凍タイプは48%でした(Davies et al., 2022)。国も商品も日本とは違いますが、同じ種類の商品でも成分表示を比べる意味があることを示しています。
冷凍ピザ、ナゲット、デザートなどの一部は「超加工食品」に分類されます。超加工食品とは、家庭ではあまり使わない加工原料や添加物を組み合わせた食品を指す研究上の分類です。しかし、味付けしていない冷凍野菜や果物まで、すべて超加工食品になるわけではありません。
20人が研究施設で生活し、超加工食品中心と加工の少ない食品中心の食事を2週間ずつ食べた比較試験では、好きな量を食べられる条件で、超加工食品の期間は1日平均約508kcal多く食べ、体重が平均0.9kg増えました。加工の少ない食事の期間には平均0.9kg減りました(Hall et al., 2019)。これは加工度についての研究で、冷凍そのものを試した研究ではありません。
また、過去の研究をまとめ直した2024年のレビューでは、超加工食品を多く食べることが、2型糖尿病、心血管疾患、死亡など複数の好ましくない結果と関連していました(Lane et al., 2024)。ただし、元になった証拠の多くは観察研究です。
選ぶときは、冷凍庫より表示を見る
冷凍食品を避けるかどうかではなく、次のように中身を見れば十分です。
- 冷凍野菜や果物は、砂糖・食塩・ソースが加えられていないものを選ぶ
- 弁当や麺類は、1食分の「食塩相当量」を似た商品どうしで比べる
- 主菜だけの商品なら、野菜、豆、海藻などを足して食事全体を整える
- 揚げ物や加工肉、濃い味のソースばかりに偏らない
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食塩相当量の目標を男性7.5g未満、女性6.5g未満としています。冷凍食品だけの数字ではなく、一日の食事全体で考える目安です。
ただし...
「冷凍食品を食べる人」と「食べない人」を長期間比べ、冷凍という保存方法だけの健康影響を調べた質の高い試験はほとんどありません。そのため、「冷凍そのものに害はない」という判断は、食品成分の比較、冷凍の仕組み、そしてリスクが食塩や食品の加工度と結びついていることを合わせたものです。
野菜の研究は各8種類を調べた食品分析で、人の病気を直接追った研究ではありません。品種、収穫時期、冷凍前の下処理、保存期間、加熱方法によって、個々の栄養素は増減します。すべての冷凍野菜で、すべての栄養素が生鮮品と同じだとは言えません。
調理済み食品の塩分調査は、2019年にオーストラリアで販売されていた商品の表示値を使っています。日本の商品に数値をそのまま当てはめることはできず、成分を実測した研究でもありません。
超加工食品のレビューでは、45件の統合解析のうち32件で好ましくない結果との関連がありましたが、GRADEという基準では、根拠の質は大半が「低」または「非常に低い」と評価されました。食事、運動、所得などの違いが結果に混ざる可能性や、「超加工」の分類が幅広すぎるという問題も残ります。Hallらの試験は因果関係を調べられる方法ですが、20人、各食事2週間と小規模・短期間です。
冷凍は細菌をすべて死滅させる方法でもありません。保存温度、賞味期限、加熱方法など、包装に書かれた扱い方を守る必要があります。
以上から、このページの確信度は「中」です。冷凍そのものを理由に避ける根拠は乏しい一方、個々の商品の長期的な健康影響は、成分や食べ方によって異なります。
参考文献
- Bouzari, A., Holstege, D. M., & Barrett, D. M. (2015). Vitamin Retention in Eight Fruits and Vegetables: A Comparison of Refrigerated and Frozen Storage. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 63(3), 957–962. https://doi.org/10.1021/jf5058793
- Li, L., et al. (2017). Selected nutrient analyses of fresh, fresh-stored, and frozen fruits and vegetables. Journal of Food Composition and Analysis, 59, 8–17. https://doi.org/10.1016/j.jfca.2017.02.002
- Davies, A., et al. (2022). Australian Ready Meals: Does a Higher Health Star Rating Mean Lower Sodium Content? Nutrients, 14(6), 1269. https://doi.org/10.3390/nu14061269
- Hall, K. D., et al. (2019). Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake. Cell Metabolism, 30(1), 67–77.e3. https://doi.org/10.1016/j.cmet.2019.05.008
- Lane, M. M., et al. (2024). Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses. BMJ, 384, e077310. https://doi.org/10.1136/bmj-2023-077310
- 厚生労働省. ナトリウム. 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-024.html