冷凍野菜は生野菜より栄養が少ないの?

健康 健康食事習慣確度: 中〜高

一言でいうと...

いいえ。味付けのない冷凍野菜が、生野菜より栄養が明らかに少ない、とは言えません。 収穫してすぐ冷やし、ブランチング(短時間の加熱)して凍らせた野菜は、店で数日置いた「生鮮」と比べると、ビタミン量が同程度か、品目によっては冷凍のほうが多いこともあります。 バターやソース付きは別問題。中身の野菜そのものについて、「冷凍だから栄養が落ちる」は言い過ぎです。

詳しくは...

比べる相手で答えが変わる

「生野菜」には、少なくとも2種類あります。

  1. 畑で採れた直後 — 栄養が一番残っているイメージに近い
  2. 店や冷蔵庫で数日〜1週間置いたもの — 多くの人が「生鮮」として買う状態

冷凍野菜の栄養比較でよく問題になるのは、主に 2 です。 輸送と冷蔵のあいだにも、熱に弱いビタミンは減り得ます。いっぽう冷凍は、収穫後すぐに処理して凍らせることが多いので、その時点の栄養を長く止めやすい、という仕組みです。

8品目を冷蔵と冷凍で比べた研究

カリフォルニア大学デービス校のグループは、トウモロコシ、ニンジン、ブロッコリー、ホウレンソウ、エンドウ、インゲン、イチゴ、ブルーベリーの8品目について、 冷蔵保存した「生鮮」と、冷凍保存のビタミン量を同じ条件で比べました (Bouzari et al., 2015a)。

結果の要点は次のとおりです。

  • ビタミンC(アスコルビン酸): 8品目中5つは有意差なし。残る3つは冷凍のほうが多い
  • リボフラビン(ビタミンB2): 大半は差なし。ブロッコリーは冷凍が高く、エンドウは冷凍が低かった
  • α-トコフェロール(ビタミンE): 3品目で冷凍が高く、残りは差なし
  • β-カロテン: 品目によっては冷凍で大きく減る。エンドウ、ニンジン、ホウレンソウなどで低かった

著者らのまとめは、「全体として冷凍のビタミン量は生鮮に匹敵し、ときに上回る。ただしβ-カロテンは一部で大きく減る」です。

同じ8品目でミネラル・食物繊維・総ポリフェノールを見た姉妹論文でも、 大半の品目・項目で冷蔵と冷凍に有意差はなかったと報告されています (Bouzari et al., 2015b)。

工場の冷凍工程そのものも、必ずしも「壊す」わけではない

アスパラガス、インゲン、ズッキーニについて、ブランチング・冷凍・貯蔵・最終調理までを追った研究では、 適切に行われた工業的冷凍では、凍らせたあと茹でた野菜の生理活性成分の保持が、生から茹でたものと比べて劣らない、または同程度でした (Mazzeo et al., 2015)。

つまり、「凍らせる=栄養がごっそり消える」ではなく、工程と品目、そのあとの加熱の仕方のほうが効きます。

公式の食事案内も、味付けなしの冷凍野菜を勧めている

米国FDAの栄養表示の解説資料は、野菜について 「新鮮・冷凍・缶詰・乾燥を色とりどりに」と書き、 バターやソースなしの冷凍野菜を買うよう促しています (FDA, 2023)。

味付けされていない冷凍野菜は、「避けるべき問題食品」として扱われていません。 むしろ、野菜を食べる量を増やす現実的な選択肢として位置づけられています。

なお、「冷凍は体に悪い」というイメージ自体が、栄養の話とは別に根強い、という心理研究もあります。 便利で栄養面でも不利でないのに、生鮮より評価が低い、という負のバイアスが観察されています (Connell et al., 2018)。

結局どうすればいい?

  • 「冷凍=栄養が少ない」で避けなくてよい。 特に無塩・ソースなしなら、生鮮と並べて選んでよい。
  • 生鮮は、買ってすぐ食べるなら強い。何日も冷蔵庫に置くなら、冷凍のほうがビタミンを保ちやすいこともある。
  • 気にするならラベルでバター・クリームソース・加糖を避ける。栄養の差より、足された脂肪や砂糖のほうが大きいことが多い。
  • 茹ですぎは生でも冷凍でも損。蒸す・短時間加熱のほうが残りやすい。
  • 果物の冷凍も、Bouzariらの対象にイチゴ・ブルーベリーが含まれており、同じ「大差ない」方向の結果が出ている。魚は別の話(鮮度・脂質の酸化など)なので、野菜と同じ一文ではまとめない。

ただし...

  • 収穫直後の畑の野菜との直接比較ではない。 Bouzari et al. (2015) が比べたのは、冷蔵保存した生鮮と冷凍。 「採れたて最強」という直感までは否定しない。日常の買い物で並ぶ「生鮮」との比較として読む。
  • ビタミンの結果は品目と栄養素で違う。β-カロテンは一部で冷凍が低い。全体平均で「全部勝つ」わけではない。
  • ブランチング(冷凍前の短時間加熱)では水溶性ビタミンが減り得る。その損失と、冷蔵中の損失のどちらが大きいかは品目次第。
  • Mazzeo et al. (2015) は3種類の緑野菜の工業工程研究。家庭の冷凍庫でゆっくり凍らせた場合や、解凍・再冷凍を繰り返した場合には当てはまらない。
  • FDAの資料は消費者向けの食事の進め方であり、ビタミン量の定量比較そのものではない。
  • Connell et al. (2018) はイメージのバイアスを見た研究で、栄養の化学分析ではない。
  • 本ページは野菜が中心。冷凍魚・冷凍肉の品質や食中毒リスク、加糖の冷凍果物は別途考える必要がある。
  • 「栄養が同じ」は、食べれば健康になる保証ではない。全体の食事パターンの話。

参考文献

  • Bouzari, A., Holstege, D., & Barrett, D. M. (2015). Vitamin retention in eight fruits and vegetables: a comparison of refrigerated and frozen storage. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 63(3), 957–962. https://doi.org/10.1021/jf5058793
  • Bouzari, A., Holstege, D., & Barrett, D. M. (2015). Mineral, fiber, and total phenolic retention in eight fruits and vegetables: a comparison of refrigerated and frozen storage. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 63(3), 951–956. https://doi.org/10.1021/jf504890k
  • Mazzeo, T., Paciulli, M., Chiavaro, E., et al. (2015). Impact of the industrial freezing process on selected vegetables — Part II. Colour and bioactive compounds. Food Research International, 75, 89–97. https://doi.org/10.1016/j.foodres.2015.05.036
  • U.S. Food and Drug Administration. (2023). Understanding and Using the Nutrition Facts Label. https://www.fda.gov/media/135625/download
  • Connell, P. M., Finkelstein, S. R., Scott, M. L., & Vallen, B. (2018). Negative associations of frozen compared with fresh vegetables. Appetite, 127, 296–302. https://doi.org/10.1016/j.appet.2018.05.134